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桜酔い

2018/ 09/ 08
                 



先輩の話。

彼の実家の裏山には小さな公園があり、見事な桜の木があるそうだ。
大学生の頃、夜桜を楽しもうと、先輩は深夜に一人出かけたという。

街灯は薄暗かったが、桜は満開で十分堪能できた。
公園のブランコに揺られながら、カップ酒をちびちび舐める。

いつの間にか、公園の真中に小さい女の子が姿を見せていた。
嬉しくてたまらない様子で、軽やかに跳ね踊っていたらしい。
先輩はぼんやりと、しかし魅入られたようにそれを眺めていたそうだ。

なぜか、その後の記憶がはっきりしないのだと彼は言う。
気がつくと、家に帰って床についていた。
それから三日間、彼は原因不明の熱にうかされた。

事情を知ったお祖父さんから「桜にあてられたな」と言われた。
見てよい物とよくない物の区別くらいは付けろ、そう注意されたそうだ。



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